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僕の愛する未亡人
第15章 欲しがる未亡人 本間佳織④
「何か、悩んでますか?」

冴子の声は柔らかい。けれど、その響きが佳織の心の奥をかき乱す。
笑ってごまかそうとしても、言葉が喉で溶けて消えた。

――この人は、どうしてこんなに見透かすように人を見つめるんだろう。

冴子は察したのか、佳織の手を取って、一番近い会議室に入った。
佳織は戸惑いながらも、冴子に導かれるまま腰を下ろした。
会議室の中は薄暗く、冴子は入口でスイッチを押した。
ドアが静かに閉まると、外界とのつながりがふっと途切れる。

冴子は佳織の隣に座った。

「本間さんはいつもお昼、食事されるじゃないですか。わざわざ話しかけてくるなんて、付き合うことになったこと……が核心ではないかなと思って」

囁くような声で「言いたくないなら大丈夫ですけど」と笑う。
その近さに、鼓動が早まるのが自分でもわかる。

佳織は思わず視線を逸らした。
冴子の笑みはやわらかいのに、どこか鋭く、心の奥の揺らぎを見透かしてくる。

「……ただ、ちゃんと伝えたかっただけ」

正直なところ、わざわざ休憩時間に声をかけておいて、自分でも何を言いたいのかわからなかった。
冴子は頷きながら、わずかに身を寄せた。
シャンプーの匂いが鼻をつき、佳織の心臓が跳ねる。

「ちゃんと、二人で会えてますか」

唐突な問いに視線を逸らしたが、佳織は正直に答える。

「あ……うん……息子が少し帰るのが遅くて……昨日、きちんと二人で過ごす時間、あったよ」

冴子は「そうですか」と短く答えた。その声は穏やかで、安堵も含んでいる。

「……いいことです。佐藤くん、きっと喜んでますね」

優しい言葉なのに、佳織の胸の奥がきゅっと痛んだ。

「――佐藤くん、もしかして。あたしのこと……本間さんにまた、何か言ったとか?」

「あ、いや……違う」

ふう、とため息を冴子はつく。

「佐藤くんは本間さんのことしか見てないですよ。お互い恋愛感情とかないですし、そこは安心して下さい。あたし、性欲強すぎるから一人の男だけとか、考えらんない」

佳織はその言葉に思わず瞬きをした。
冴子の口調はあくまで淡々としていた。本当に思っていることなのだろう。

「……そうだよね」

呆れたように笑いながらも、胸の奥にざらりとした感情が広がる。
安心したような、しかしどこか取り残されたような――そんな奇妙な痛み。
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