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魅惑~甘く溺れる心と身体。
第21章 告白~許しを乞うて大好きな人と一緒に。

 後半は何を行っているのか判らない。
 ぶつぶつ呟いていた。
 いつもはっきりした口調で話すお父さんらしくない言い方。
「兄さんらしいね」


 ……えっと、つまり。


「あたし、お母さんみたく、お父さんに捨てられないの?」
「捨てる? そんなわけあるか! お前をこんなに愛しているのに!!」
 ガバッ!
 お父さんが身を乗り出す。
 気がつけばあたしはお父さんの腕の中。
 ローテーブルを越えて抱きしめられていた。
 突然力強い腕の中に閉じ込められたあたしは何が何だかよく判らなくなってしまう。
 頭の中がグルグルする……。


「だから言っただろう? 澪ちゃんは嫌われてないって、寧ろ好かれすぎている。そして真彩さん――澪ちゃんのお母さんは、澪ちゃんに嫉妬して出て行ったんだ……」
 唯斗さんは、「もういいでしょう?」と付け加えてまたもやお父さんの腕からあたしを解放してくれた。


「あ、あたし。どうしたら……えっと」
「澪、わたしを軽蔑するか?」
 正直、気持ち悪いとは思わない。
 だってあたしもずっとお父さんの弟さんを好きだったから……。
 首を振れば、お父さんは安心したように破顔した。
 こんな表情のお父さんも初めて見る。
 もしかしたら唯斗さんの言うとおり、お父さんはあたしのことを異性として愛しているの?
 本当に、本当なのかもしれない。


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