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無敵に近い男
第1章 無敵、なのか……?

(無敵、なのか……?)
先ほど、自分が創った薬を飲んでみた。いわゆる無敵になれる薬だ。
ただし、もちろん効力があるかは分からない。副作用も、あるかもしれない。それでも彼は、今まで独学で磨いてきた技術を信じ込み、それを口に入れた。
味は普通だ。まあ、薬は苦いのが当たり前なので普通と言えるのか分からないが。
ただ、しかし外見は何も変わりなかった。やはり独学ニセ医者の創った薬なんてダメなのか。
そう思って立ち上がろうとした瞬間、急に立ち眩みがして倒れてしまった。
実は最近、あまり眠れていないのだ。「死」という恐怖に立ち向かうのが怖くて。
ただ奇跡と言っていいだろうか、幸いなことに怪我はなく、それどころか痛みも全く感じなかった。
彼は驚きつつも、偶然であった可能性を考慮し、もう一度、倒れ込んでみた。
やはり痛みは感じない。というより、まるで自分から痛みという感覚が無くなってしまったようだ。
彼は大いに喜んだ。
無敵になれたことが証明でき、自分で創った薬が初めて成功したからだ。
(これからは、もうなにも恐れる必要は無い)
実は長年「死」を恐れ、引きこもっていた彼だが、この日は違った。
彼は外へ、足を踏み入れだしたのだ。
新しい彼の、はじまりだ。
先ほど、自分が創った薬を飲んでみた。いわゆる無敵になれる薬だ。
ただし、もちろん効力があるかは分からない。副作用も、あるかもしれない。それでも彼は、今まで独学で磨いてきた技術を信じ込み、それを口に入れた。
味は普通だ。まあ、薬は苦いのが当たり前なので普通と言えるのか分からないが。
ただ、しかし外見は何も変わりなかった。やはり独学ニセ医者の創った薬なんてダメなのか。
そう思って立ち上がろうとした瞬間、急に立ち眩みがして倒れてしまった。
実は最近、あまり眠れていないのだ。「死」という恐怖に立ち向かうのが怖くて。
ただ奇跡と言っていいだろうか、幸いなことに怪我はなく、それどころか痛みも全く感じなかった。
彼は驚きつつも、偶然であった可能性を考慮し、もう一度、倒れ込んでみた。
やはり痛みは感じない。というより、まるで自分から痛みという感覚が無くなってしまったようだ。
彼は大いに喜んだ。
無敵になれたことが証明でき、自分で創った薬が初めて成功したからだ。
(これからは、もうなにも恐れる必要は無い)
実は長年「死」を恐れ、引きこもっていた彼だが、この日は違った。
彼は外へ、足を踏み入れだしたのだ。
新しい彼の、はじまりだ。

