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月のうさぎ 恋のバトルロイヤル
第1章 月の夜
その夜、セリはなかなか寝付かれなかった。
ウトウトしては、はっと目覚める度に確かめるのだが、大きなベッドに横たわる彼女の横は、虚しく空っぽで、相変わらず夫の姿はなかった。
夫は仕事と称して飲みに出てまだ帰ってきていないのだ。
仕方なく水を飲みに立ってみた。
ふと庭に面した廊下に出ると真夜中なのに思ったより明るかった。月の明かりだった。
セリは、少し冷っとした空気にシルクのナイティの襟を掻きよせながら、下弦の月を見上げた。
「本当にお仕事なのかしら?こんなに遅くまで帰ってこないなんて、ミコトさん大丈夫かしら?お体心配だわ。」とその美しい顔を曇らせながら呟くのだった。
セリは、マスオさんである夫が、セリの父須佐雷蔵が創業した八雲グループの後継ぎとして相応しい業績を上げようとして、身を粉にして働き、心身共にかなり無理していることを心配していた。
そのため、ストレス解消するために夫の多少のお遊びには、目をつぶっていた。
しかし、最近は仕事も遊びも度が過ぎていた。
妻である自分が放置されて、今夜も寂しい一人寝だった。
幸せを求め過ぎた結果、かえって不幸な破滅を呼び込むのではないかとの不安も感じていた。

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