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銀狼
第8章 雨(アマ)の鎮魂歌

その時セレナの視界に舞い込んできたのは、一羽の小鳥だった。


「──…」


枝に止まった小鳥は、彼女が見守る前で…たわわに実った果実のひとつにその小さなくちばしを突っ込んだ。

セレナはそれを見てはたと足を止める。


“ 食べてる… ”


やっぱり美味しそう…。


小鳥に異変はなく、毒は無いのだと知ることができる。

一部始終を観察したセレナは我慢も限界で手近な実に手を伸ばした。



はち切れんばかりの瑞々しい手触り…

彼女はそれをもぎ取った。


“ 小鳥もなんともなさそうだし…平気よね? ”


ズシリとした重さに驚きながら、自分を誘う甘い香りにそそのかされて慎重に歯を立てた。


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