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銀狼
第12章 epilogue


支配とはどういうことだろうか。

存在を表すというのもいまいち理解できない。


ただこれだけはセレナにも分かった。


彼が宝石に籠めたこの " 名 " は、遠く離れた二人を引き合わせる。


『 忘れるな、此処に在る…── 』


それは何人( ナンピト )たりとも邪魔できない。彼女だけが授けられた力──。





「……でもわたし、あなたのことはやっぱりローって呼ぶわね」



だってお互いを呼び合うときに言葉に表せられないと不便でしょう?



セレナは心の声に語りかける。



これこそが満月の夜にだけ赦された二人の逢瀬。

ローは彼女の身体を抱く変わりに

その声で…包み込む。

頬を濡らす彼女の涙を拭うことはできないが──。






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