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銀狼
第12章 epilogue


彼に包まれたセレナの身体が熱を持った。


“ ロー… ”


目を閉じたセレナは

左手をかかげて、手首に口元を寄せる。



其処に在るのは二つの牙の痕──。

ありありと残る傷痕に、彼女は口付けた。



舌を出して──下から、上へと。



“ やっぱり……なんだか、違うのね ”



記憶と違う感触に、戸惑うふりをする。

彼の声に包まれたまま熱くなる身体を

背中を震わせた甘だるい快感へと投げ出して──。







「──‥‥」







永久に癒されぬ痛みを抱え

悲しき歌姫は愛の言霊を歌う。

そうして不器用に編み上げた愛を仕舞うために

満の月が見守る下、胸元の宝石を握りしめた。





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