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銀狼
第4章 月夜の陵辱

これは銀狼にとってもただの誤算であった。

「……お願い…!! …助けて…助けて……っ」

息を乱し、啜り泣きながら

まるで自分を見捨てないでと懇願するように、必死にしがみついてくる裸の女。


──人間の娘。



「……」


抱き付かれた銀狼が彼女の声を聞き、動きを止めていた時間は──数秒ほど。

彼はそのままセレナを横抱きにして腰を上げた。



彼が歩き出すと狼達は道を譲る。



祭壇から離れ周囲を囲む絶壁の麓( フモト )へ──。

銀狼は崖に沿ってできた石段をゆっくりと登り始めた。

その石段の続く先には、もともと彼が立っていた、崖から空へと鋭く突き出た岩場がある。

さらにその奥にある洞穴は、彼が眠る寝床になっている──。



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