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あなたに抱かれたい
第1章 新入社員

小会議室のテーブルには今年の新入社員の履歴書が所せましと並べられていた。

まるでプロ野球のドラフト会議のように
各部署の部長がかるたでもするように新人を引き抜いて行く。
新人達の適正を見て戦力になりうるかどうかを見極めるのも部長たちの眼力に任せられた。

男性の新人は順調に各部署への配属が決まって行く。
問題なのは女性社員だ。
華やかな女性を配属することで、その所属部署の業績が一時的に大幅にアップするのだから、どの部署もなるべく器量良しの女性を欲しがった。

ただ、男性に比べて女性の人数が圧倒的に少ない。
だから、どの部署も女性の取り合いになるのだ。

すったもんだの挙げ句、最後は人事部長の権限で
五十嵐久美子は営業三課、赤坂留美子は総務部への配置が決まった。

その頃、営業三課の篠塚拓哉は次回のプレゼン資料に目を通していた。
係長として勤務する拓哉は脂の乗り切った営業マンとしての有望株であった。

「みんな、ちょっといいかな?」

背後から課長に声がしたので「何だろうか?」と後ろを振り返った。

課長の背後に体を隠すように突っ立っている女に目が止まった。

「紹介しておこう、この度、うちに配属になった五十嵐久美子くんだ。一日も早くうちの戦力になってもらえるよう、皆よろしく頼むぞ」

さ、挨拶したまえと課長が背後の久美子を前に出なさいと促す。

「営業三課に配属となりました五十嵐久美子と申します
足手まといにならぬよう、しっかりと働きますのでよろしくお願いします」

リクルートレディスーツでシックな装いだが、
服の上からでもプロポーションがいいのがわかる。
営業マンたちは挨拶を返すことさえ忘れて彼女の佇まいに見とれた。

「おいおい、皆、彼女に魂でも抜かれたのか?挨拶ぐらい返してあげなよ」

課長の声で我に返った面々が「よろしく」と言葉を返した。

「しばらくは係長の篠塚くんが面倒を見てやってくれ」

そう言って課長は久美子を拓哉に引き合わせた。

「俺が?その子の面倒を?」

正直、邪魔くさいと思った。
ただでさえプレゼン前で自分の事で精一杯なのに新人の面倒まで気が回らない。


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