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あなたに抱かれたい
第5章 父が連れてきた女

姉の茉優と弟の正弥は、あの夜、父が外泊した理由を聞こうともしなかった。
その話題に触れてしまうと、いやでも二人はあの夜の熱い出来事を思い返してしまい、すぐにでも体を求めあってしまうような気になるので、父に悟られないようになるべく普段通りの生活をすることを心がけた。

朝食を済ませてテーブルから離れようとする正弥に
「あのさあ…今度の日曜日…どこかへ出かける予定はあるのかい?」と父があらたまった神妙な顔つきで正弥に訊ねた。

「いや、今んところ遊びに行く予定はないけど…」

父は休日出勤でもするのかなと想像した。
それならば好都合だし、父が出掛けたら姉をベッドに誘って明るい陽光が窓から差し込む明るい部屋で姉をヒィヒィ言わせてやろうと思った。

そんな正弥の思惑など知らずに、
朝食後の後片づけをする茉優にも父は「茉優は?お前は予定があるのかい?」と訊ねた。

「ううん、別に予定はないわ」

本当は弟の正弥と公園にでも行ってデートをしたい気分だった。

「二人とも予定はないんだね?
それならよかった…あの…父さんちょっと人を家に招こうかと思っているんで…その人に…その…挨拶をしてもらえないかな?」

父があらたまってそのようなことを言い出すのは初めてだったので口振りからしてよほど大事な来客なのだろうと察しがつく。

「どのようなお客様?ほら、もし、お食事をしていただくのなら買い物にも行っておかないといけないし…」

「いや、今回はまず挨拶だけだから…」

言い淀んだ父が気まずさそうに「おっ!もうこんな時間か!じゃあ、約束したからね、家にいておいてくれよ」と早口でそう言って逃げるように出勤していった。

「珍しいね、父さんが客人を招くなんて」

「パパの口振りからして、よほど大事なお客さまに違いないわ」

二人はてっきり来客が父の仕事関係の方だろうと思っていた。
職場と家の往復しかせず、伝書鳩のような生活をしてきた父だったので決して交遊関係の方ではないと信じこんでいた。

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