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防音室で先輩に襲われて…
第3章 ちょっとしたハプニング

 そして翌朝

 ──…

「……ハァ」

「おはよう!乃ノ花ちゃん」

「うわぁ!椎名先輩…!」

「昨日の今日で、すっかり元気がなくなってるね」

「え、そんな、ばれてますか?」

「放送部の廃部の件かい?それなら僕がなんとかするから心配しなくて大丈夫だよ」

 校門の近くで後ろから声をかけられた乃ノ花は、不意打ちすぎて飛び上がった。

 直前についていた溜め息を忘れるほどの、大きな声で驚く。

 …けれどすぐに、もとの覇気の無い声に戻ってしまった。

「部活のことは関係ないです。ちょっと……家で、両親に怒られてしまって」

「乃ノ花ちゃんこんなに良い子なのに、怒られるなんて珍しいね」

 珍しいと言うなら、友人の多い椎名がこうしてひとりで登校しているほうが珍しいのだが

「実は昨日…あれから塾に行ったんですけど、両親がそれを信じてくれなくて、「サボって遊びに行ったんだろう?」と言われてしまって」

「──?どうしてそんなふうに疑うのさ」

「そ、それが、スマホのGPS?機能で位置を確認したら、学校から塾とは反対の方向に移動していったらしくて……。途中で電源が切れたから、どこに行ったかまではわからなかったみたいですけど」

「……」

「言われてスマホを確認しようとしたら無くなってて。たぶん学校に忘れたんだと思うんですが、親はそれを信じてくれず…」

「…それで、電源を切ってどこかに遊びに行ったのではと疑われているんだね」

「…はい。(コクリ)」

「はぁ…」

 トボトボと歩く乃ノ花の歩調に合わせて、椎名もゆっくりと足を動かす。


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