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防音室で先輩に襲われて…
第3章 ちょっとしたハプニング
「…っ…すみません!こんなことまで先輩に聞いてもらって」
「構わないよ」
ふたりで昇降口まで行って靴を履き替え、階段の前で再び合流。
「ところで」
「……?」
「君が言うスマホってこれの事?」
「!──あ、それです!」
じゃっかん気不味そうな顔で椎名が取り出したのは、正真正銘、乃ノ花が失くしたスマホだった。
「どこにあったんですか?」
「放送室。君が帰ったあとに机の上にあるのを見付けてね。すぐに返そうと思って今日は早めに来たんだけれど…遅かったみたいだね」
「そんなことありませんっ、ありがとうございます」
「ごめんね」
「謝らないでください…っ」
申し訳なさそうに顔をしかめる椎名にあたふたしつつ、乃ノ花はスマホを受け取った。
「……にしても、高校生にもなって、スマホの位置機能で娘の居場所を監視するなんて、なかなか厳しい親御さんだね」
「そう…なんでしょうか?わたしたちは学生ですし、普通のことかと思います」
「ああ……まぁ、そうかもね」
乃ノ花がキョトンとした顔で首を傾げるので、そういうことにしておく。
「大切にされているんだね」
けれど椎名の声色は僅かに低くなっていた。

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