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防音室で先輩に襲われて…
第5章 防音室で先輩に襲われて
何が起こったのかわからない
いったい何が起こっているのか…
(この人は誰……?)
目の前で不敵に微笑む男は誰なのか。乃ノ花がただ呆然としていると、男の顔がスッと近付く。
「……ッ」
彼女が両腕をクロスさせて顔を隠したのは、ほとんど無意識だった。
「や…ッ」
「──…」
「…ッ…………?」
「顔なんか隠してどうしたのさ」
「…!(笑って、る…!?)」
クツクツクツ...
喉の奥で笑う音──
「そんな役に立たない抵抗しても……というか、抵抗のうちにはいってないよ。
……それとも、キスされると思った?」
「キス……?」
「してあげようか」
「ど、どぉして……?」
「してほしいなら…キスくらいしてやるさ。女はムードが大事だからね」
色気を帯びた彼の笑みが、今はとても意地悪く見えた。
「信じてた先輩に裏切られて、好きほうだい犯されるって絶望的な状況でさえ、甘いキスのひとつがあれば…──案外、心は傾く」
耳を疑うような非情な事を口にしているのは
まぎれもなく、乃ノ花が心から信頼していたヒト。
(ほんと に、椎名先輩な の……?)
絶望の涙がポロポロと零れる。とても静かに、とめどなく……。
「へぇ……泣いてるんだ」
両腕で顔を隠したまま彼女は肩を震わせて泣いた。

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