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防音室で先輩に襲われて…
第5章 防音室で先輩に襲われて

「悲しいんだね」

「…っ─…う、ふ、……ぅぅ……!」

「可哀相に……ほらキスしようよ、顔をあげて」

「ぃゃ…ッ」

「手を退けろ」

「ひッ‥や!触らないでください!!」

「……………ッ」

 自らに伸ばされた手を振り払い、乃ノ花は出来うる範囲の強がりで相手を睨みつけた。

 両手はしっかりと口許を隠して、せいいっぱいの反抗──

「キスなんてしません……ッ」

「…………フ、はは……イイね、俺とキスは嫌かい?」

「ぜったい、しません…ッ」

「初々しくていいんじゃないかな?そこを奪う楽しみは後に残しておくとして……まぁでも……フ、しっかり口許を隠すその姿が可愛いから、ちょうどいい、ゲームでもしようか」

「ゲーム…?」

「君が口から両手を離したら負け
 そのまま堪えぬいたら、君の勝ち」

 強がる彼女にもちかけられたのは、実に単純な " ゲーム " だった。

「簡単だろう?」

「わ、わたしが負けたら……どうなる…の……!?」

「どーもしない、キスをするだけだ」

 そのゲームは、一聴すると、負けた場合のリスクは少ないようでいて

「君が勝てば……そうだな。──昼休憩が終わるまであと20分だ。それまでに君が堪えてゲームに勝てば、解放して授業にいかせてあげよう」

 つまり乃ノ花が負ければ、この男から解放されないという未来を当然のように告げてきた。



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