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第1章 たくされた居場所

「これから、辻はひとりで大変かもしれないけど…後は、任せたからな」


　まだ肌寒い風が、ふたりの間をぬけていく


「わたし頑張ります」


「……」


「先輩がわたしにくれた居場所……わたしが、ちゃんと守ります」


「ああ」


　．．．．ﾌﾜｯ


「お前に、たくすよ」


　そう言った上坂は、動かない彼女をハグしてやった。優しく背中に手を添えられて、腕の中でまた彼女は泣いた。

　あれが最初で最後の、上坂先輩との約束だった──。





　──…