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防音室で先輩に襲われて…
第5章 防音室で先輩に襲われて
だが何も浮かばなかった。
「……っ、ハァ…ハァ……ハァ……」
(駄目だ……頭が働かない。クラクラ…する、倒れてしまいそう…っ)
睨もうにも焦点が合わない。
倒れる前に逃げないと。今は、逃げないと……!
「……やっぱりソソる表情だ」
「…っ」
「逃げていいんだよ?追いかけないから安心して。ただし途中で逃してあげるのは、今回が最初で最後だけどね…」
「それっ て」
(どういうこと……!?)
「──…今日の、放課後」
「……」
「授業を終えたら、すぐこの部屋に来い」
「ぇ‥‥、なん、で、解放、するっ…て…」
「ああそうだよ、今だけ、ね。放課後はまたここへ来てもらうよ。俺はここで待っておく、…だから君は俺に会いにくるんだ」
希望も何もあったものじゃない。解放なんて言葉は一時の気休めでしかなかった。
「きっ、来ません!わたしはもう二度と先輩には会いません!会いに来たりするわけない…ッッ──先輩の言う事なんてぜったいに聞きません!!」
「へぇ…来ない気かい?」
「あたりまえです…!!」
「なら下校のアナウンスはどうするの?」
「……!?」
「放送部の活動はサボるんだね。…まぁ今日1日くらいサボったところで問題にはならないか。…なら明日は?明後日は?…俺がここに来るかぎり君はずっと仕事ができないわけだけれど」
「そんなの、卑怯…!」
「それが嫌なら教師に言い付けてみるかい?──どうしても会いたくない奴が放送室に陣取ってるから追い出してくれませんか、って」
椎名が流暢(リュウチョウ)に話している間、乃ノ花は言葉を失っていた。
椎名はつまり、彼女に教えているのだ。「そんな事をしても無駄である」──と。

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