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防音室で先輩に襲われて…
第6章 そういう涙は興奮しない

「泣くな、苛々する」

「……っ」

「…それとも俺を怒らせて酷く調教してほしいの?」

「…ッ…怒って…るの…!?」

「鍵を閉めてここへ来い」

 別人のような低い声……

「おっとまさか逃げる気?」

 ドキ‥‥!!

「いま外へ逃げてみなよ。一生後悔させてやるから。君が大切にしてるものを……ひとつ残らず壊すよ?」

 乃ノ花がドアノブに手をかければ、それを見抜いた男がいち早く制した。

(ど…して、急に…?)

 逃げたい、早く逃げ出したい

 だが逃げるなと言われる。背中を見せることすらできない。

 前にも後ろにも足を動かせず──勝手に膝が笑いはじめた。

 ──ガタンッ

「ひ‥っ」

 そして椎名が椅子から立ち上がった瞬間、何かがプツッと切れた乃ノ花はその場に尻もちをついた。

 ずるずると…背をドアに付けたまま腰をぬかす。


「…………」

「ぁ‥‥ゃ‥ゃ‥‥だ‥‥!!」


 椎名は少しずつ乃ノ花に近付き、床に座った彼女の目の前で立ち止まった。顔をあげる勇気のない乃ノ花の頭上で──


 ガ チャ.....


 部屋の鍵を閉める音がした──。







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