この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
助教 沙霧
第22章 逢瀬
 都心の喧騒を縫うように走る地下鉄の車内で、沙霧は窓ガラスに映る自分の姿を、まるで他人のそれを見つめるような冷めた眼差しで凝視していた。

 短い黒髪を端正に整え、首元までボタンを留めたチャコールのステンカラーコートに身を包んだその姿は、どこから見ても知的な輝きを放つ「瀬川先生」そのものだ。しかし、その厚手の布地の下で、彼女の心と肉体は、誉から授けられた重圧に、一秒ごとにすり減らされていた。

 (私……本当に行くの……)
 (沙霧…あなた……本当にそれでいいの……)

 沙霧の自問に応えてくれる者は誰もいない。沙霧自身も答えは持っていない。ただ操られるように、誉が指定した場所に向かう自分がいる。
 
 駅に降り立ち、指定された住所へと続く薄暗い路地に入ると、冬の夜気が彼女の頬を鋭く叩いた。街灯の光が乏しく、古いレンガ造りの塀が続くその一帯は、都会の真ん中でありながら、時間の流れから取り残されたような不気味な静寂を湛えている。

 目的の洋館は、うっそうとした木立の奥に、死に絶えた巨大な獣のように佇んでいた。

 (ここが……私の終わる場所……それとも、始まる場所……)

 重厚なオーク材の玄関扉を前に、沙霧は立ち止まった。彼女は一度、深く、肺の奥が痛くなるほど冷たい空気を吸い込み、そして、震える指先でノブを回した。

/92ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ