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センセイと課外授業
第14章 平穏と雑音

トシくんの昨日の話は、瞬く間に学校中に広がっていた。

もちろん彼が言いふらしたのではなく、トシくんの話を聞いた一人から派生的に噂は広がり、なぜだか年上の女だっただとか色んな尾ひれがついて回っていた。

化学の授業ではもちろん、先生への追求でみんな授業どころではなかった。

困った様子の先生の姿をぼうっと見ながら、私は昨日の彼女を思い出していた。

(ウェストとか細かったなぁー…色も白いし…)

「先生、その彼女って10も上ってマジ!?」

(鼻もすっと通ってて…私とは真逆の存在って感じ…?)

「みんな、そういうプライベートなことは聞くもんじゃないよ。」

「じゃあさ、彼女かどうかだけ答えてよっ!」

生徒の追求に先生はオロオロしながら、違うよ、といった。

「彼女とかじゃない。」

「ええー彼女とかってー?もしや嫁!?」

「え、結婚してるの!?」

「いやぁーそんなの聞いてないーーー」

「女子うるせぇ!」

「…そんなことより、授業してもいいですか?」

苦笑してから黒板に向き直ると、先生はスラスラ化学反応式を書きながら、この間の小テストの解説を始めた。

まだ納得しない多感な高校生は、ヒソヒソと憶測を交わしながらも、ようやく授業が始まる。

私の頭の中は、あの女の人のことで一杯だった。
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