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敗者の美酒
第2章 2014年 春のかほり

      横風注意


フォグランプが照らし出す 綿雪
風に舞い 何も見えない 闇の向こう

まるで白い 魔女のように 立ちはだかる吹雪
心乱れ 天を呪い アクセルを戻す

あれから何年 こうして闇の中で
その向こうを夢見て焦がれて また絶望を握りしめる
同じ毎日 繰り返し 全てを諦めて



もう
 運命にこの命握りしめられて
 闇夜の雪のように
道路に落ちて 踏みつけられて 消えてしまいたい

この世のどこかに
 時が止まった国があるなら
全てを捨てて ここから逃げて 消えてしまいたい



まだ荒れ狂う 雪の中を 目を細めて進む
人に迷い 道に迷い 麻痺する心

明日は遠い 悪夢のように 僕を急き立てる
耳を塞ぎ 声を奪い 血の滲む唇

あれから何年 この永遠の悔しさの中で
その向こうを夢見て焦がれて また孤独を握りしめる



もう
 運命にこの命握りしめられて
 闇夜の砂のように
地獄に落ちて 踏みつけられて 消えてしまいたい

この夜のどこかに
 全てを忘れる薬があるなら
全てを捨てて ここから逃げて 消えてしまいたい


消えてしまいたい あの雪のように



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