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『春のにほひ』
第1章 沈丁花の咲く頃…
10
「ごめん、待ったぁ…」
「あ、え…」
突然、待ち合わせしていた彼女の声が…
僕を現実の世界へと戻してきた。
「なんかぁ、明日から暖かくなるみたいねぇ」
彼女は僕に腕を絡めながら、そう言ってくる。
「う、うん、そうみたいだね」
「でもさぁ、夜はまだ寒いわねぇ」
「あ、うん」
「あぁ、なんかぁ、甘い香りがするぅ」
すると彼女は、鼻をひくひくさせながら辺りを見回す。
「あぁ、これは、沈丁花の香りだよ」
「え、沈丁花って?」
「うん、ほら、あそこの花壇に咲いてる」
と、僕は向かいの公園の小さな花壇を指差した。
「あぁ、あれね」
「うん、沈丁花はさぁ、夜になるとね、甘い香りが濃くなるんだ…」
「え、そうなのぉ」
僕は、少しまた再び、千里さんの影を浮かべ、そう彼女に答える。
「へぇ、駿くん詳しいんだぁ…」
「あ、いや、昔、近所の御宅の庭先に咲いていたから、ついね、ちょっと調べただけさ…」
「ふぅん、じゃぁさぁ、花言葉なんかも知ってたりするのぉ?」
「え、あ、花言葉、うん、確か…
永遠とか、甘美な思い出…だったかなぁ…」
そう、甘美な思い出…
それは未だに忘れられない、千里さんとの一夜の思い出。
「えぇ、なんか、少しいやらしくない」
「い、いやらしいって?」
「だってさぁ、永遠でぇ、甘い思い出ってさぁ」
「…………」
「まるで、この甘い香りでさぁ、男をさぁ、誘ってるみたいじゃん」
「え、あ…」
僕は一瞬、彼女のそんな何気ない言葉に、胸が高鳴ってしまう。
甘い香りで誘ってくる…
確かに僕はあの夜…
沈丁花の匂い立つ芳香に誘われたようなものだった………
「ごめん、待ったぁ…」
「あ、え…」
突然、待ち合わせしていた彼女の声が…
僕を現実の世界へと戻してきた。
「なんかぁ、明日から暖かくなるみたいねぇ」
彼女は僕に腕を絡めながら、そう言ってくる。
「う、うん、そうみたいだね」
「でもさぁ、夜はまだ寒いわねぇ」
「あ、うん」
「あぁ、なんかぁ、甘い香りがするぅ」
すると彼女は、鼻をひくひくさせながら辺りを見回す。
「あぁ、これは、沈丁花の香りだよ」
「え、沈丁花って?」
「うん、ほら、あそこの花壇に咲いてる」
と、僕は向かいの公園の小さな花壇を指差した。
「あぁ、あれね」
「うん、沈丁花はさぁ、夜になるとね、甘い香りが濃くなるんだ…」
「え、そうなのぉ」
僕は、少しまた再び、千里さんの影を浮かべ、そう彼女に答える。
「へぇ、駿くん詳しいんだぁ…」
「あ、いや、昔、近所の御宅の庭先に咲いていたから、ついね、ちょっと調べただけさ…」
「ふぅん、じゃぁさぁ、花言葉なんかも知ってたりするのぉ?」
「え、あ、花言葉、うん、確か…
永遠とか、甘美な思い出…だったかなぁ…」
そう、甘美な思い出…
それは未だに忘れられない、千里さんとの一夜の思い出。
「えぇ、なんか、少しいやらしくない」
「い、いやらしいって?」
「だってさぁ、永遠でぇ、甘い思い出ってさぁ」
「…………」
「まるで、この甘い香りでさぁ、男をさぁ、誘ってるみたいじゃん」
「え、あ…」
僕は一瞬、彼女のそんな何気ない言葉に、胸が高鳴ってしまう。
甘い香りで誘ってくる…
確かに僕はあの夜…
沈丁花の匂い立つ芳香に誘われたようなものだった………

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