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『春のにほひ』
第1章 沈丁花の咲く頃…
 11

「まるでさぁ、この甘い香りでさぁ、男をさぁ、誘ってるみたいじゃん………」

「え、あ…」
 僕は一瞬、彼女のそんな何気ない言葉に、胸が高鳴ってしまう。

 甘い香りで誘ってくる…

 確かに僕は、あの夜…

 沈丁花の匂い立つ芳香に誘われたようなものだった。

「ホント、昔の人ってさぁ、ロマンチックよねぇ」

「え?」

「だってぇ、花言葉ってさぁ、昔からあるんでしょ?」

「あ、うん、そうみたい」

「だもん、ロマンチックじゃん」

「うん…」
 確かに彼女の言う通りかもしれない…
 僕はあの夜の後に、この沈丁花や、梅等の花言葉や、由来なんかを少しだけ調べた。

 そしてその時、心高鳴り、揺さぶられた想いがあったのだ…

 それは、沈丁花の別名に
『千里香(せんりこう)』
 という表現があり…
 その『せんり』が『ちさと』さんの千里と合致した事であった。

 その字の如く…
 千里先の遠くまで香り…
 そして誘ってくる…

 そう、僕は…
 その甘い香りに誘われ、導かれたのだ。

「ねぇ、お腹空いたよぉ、どっか食べに行こう」

「あ、うん、そうだね…」
 と、僕は、また再び、彼女のそんな言葉に、過去の、あの『甘美な思い出』に揺らぐ心を、現実に引き戻された。

「何を食べようかなぁ…」
 そう、今の僕には、リアルにこの彼女がいる。

 そして彼女の存在こそが…
 この『春の夜の夢』みたいな過去と現実…
 という境界から、僕を呼び戻してくれるのだ。
 
 春先になると、ふと彷徨う…

 千里香の一夜の春の夢…

 それは、あの沈丁花という『春のにほひ』

「あ、そうだ、ピザが食べたい」

 そう笑う彼女からは…
 成熟前の、まだ青さを残したような…
 
 桜 のほのかな淡い匂いがしていた………

              
                  終り。




 
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