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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第31章 父の日の前夜 ~夢の余韻~(start-1m) 健治編③
12時47分 ピピピピピ……!

書斎ブースに置かれたスマホのタイマーが鳴り響く。

健治はハッと目を覚ました。

ベッドルームの一角にある書斎ブースの椅子に、
だらしなく体を預けたまま寝落ちしていた。

「……夢か」

低く掠れた声で呟く。
額に浮かんだ汗を拭い、下半身に違和感を覚えて顔をしかめた。

ズボンの前が大きく湿っている。

夢精していた。

温かく粘ついた精液が、下着の中にべっとりと広がっていた。

スマホからは、RATS & STAR「夢で逢えたら」が流れ続けている。

健治はため息を吐き、曲を一時停止した。

47歳の渋い顔に、疲れと戸惑いが浮かぶ。

(……また、あの夢か)

今はまだ、彩香が入社して2年目のGW明け。

残業続きの企画部で、二人きりになる機会などほとんどない。

3ヶ月に1回の人事面談で、
短い時間に緊張した面持ちで資料を差し出す彩香の姿を見るのが、せいぜいだった。

そして、そんな彩香は無記名で健治の誕生日やクリスマス、
バレンタインにお菓子をそっとデスクに置いていく。

健治も、彩香の提出書類から知った誕生日とクリスマスとバレンタインに
匿名で小さなお菓子を贈り返していた。

表立っては、何もできない。
あえてできるなら、たまに少しよくある意地悪をすることくらいだった。
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