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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第41章 逃げ切れない平日の甘い攻防~火曜~①
同日 12時55分 昼休み 13階 面談室 

雨の音が少し弱まった頃、健治さんが優しく彩香の肩を揺すった。

「もう少しで昼休み終わるぞ。戻ろうか」

彩香は名残惜しそうに健治さんの胸から顔を上げ、頰を赤らめながら小さく頷いた。

二人は少し距離を置いて面談室を出た。

廊下で企画部フロアに戻る途中並んで歩きながら、
彩香は健治さんの袖を小さく摘まみ、恥ずかしそうに上目遣いで言った。

「……あの、3時からの作業……何もしないでくださいね。
仕事ですからね……本当にお願いします……」

声がだんだん小さくなり、最後はほとんど息のような頼み方になった。
顔は耳まで真っ赤で、逃げたい気持ちがはっきり表れている。

健治さんは足を止め、彩香を振り返った。
口ひげの下で満足げに微笑み、低く包容力のある声で答える。

「ふっ……仕事はちゃんとやるぞ。
ただ……お前が一生懸命頑張ってる姿を、俺がちゃんと見届けるだけだ。
お前を独占できる時間が増えるのは、悪い気はしないがな」

少し意地悪く言いながらも、健治さんの眼差しは優しく、
彩香を守るような包容力に満ちていた。

「楽しみにしてるぞ、彩香」

その言葉に、彩香の背筋がびくりと震えた。

顔を真っ赤にしたまま、慌てて前を向いて歩き出す。

「……もう……意地悪……」

自席に戻った彩香は、顔の火照りを抑えるように何度も深呼吸をした。

午後の仕事に取りかかろうとするが、集中できない。

健治さんが自分のデスクに戻る際、彩香の席の近くを通るたび——

びくっ!

彩香の肩が小さく跳ね、背中が固くなる。
逃げたい気持ちと、健治さんへの甘い緊張が混じり合い、
健治さんが視界に入るだけで体が反応してしまう。

(……3時になったら……面談室で2人きり……絶対に意地悪される……
でも、健治さんと一緒に仕事できるのは……嬉しい……もう、どうしよう……)

彩香は顔を赤らめたまま、必死にPCの画面を見つめていた。

時折、健治さんの視線を感じては、肩をびくっとさせながらも、仕事の手を止めない。

午後3時の面談室作業が、彩香にとって甘く、恐ろしく、待ち遠しい時間になっていた。
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