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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第34章 初めての二人の特別な父の日~秘密を打ち明けて~②
健治さんは口ひげの端を軽く指で撫でながら、くすりと低く笑った。
「彩香、こんなに熱心に集めてたのか。
フィギュアも綺麗に飾ってるな……可愛い趣味だ」
「もう……健治さん、意地悪……!
絶対にからかう気でしょ……死にたい……」
彩香は声を震わせながらも、指の隙間から健治さんの様子をチラチラ見ていた。
すると健治さんは、棚に急いで差し込むように挟まっていたファイルに手を伸ばした。
過去に好きだった芸能人・男性たちの写真ファイルだ。
ファイルを開いた健治さんの表情が、わずかに緩む。
「……やっぱり彩香は、こういう男を求めてたんだな」
少し意地悪く、でも優しい響きを帯びた低い声で言った。
「一途だな。お前は」
彩香は顔を真っ赤にしたまま、慌てて立ち上がって健治さんの腕にしがみついた。
「返して……! それ、昔の……本当に昔の……!」
健治さんはファイルを手に持ちながら、彩香の頭を優しく撫でた。
ファイルの中から、特に目立つ40代くらいの藤竜也の写真を取り出す。
深く刻まれた皺、鋭い眼差し、口ひげのある精悍な顔立ち——
今の自分と重なる部分が多い。
健治さんはその写真をじっと見つめ、彩香を横から抱き寄せながら、低く穏やかな声で言った。
「藤竜也さんか……。好みの男と、ちゃんと恋人になれてよかったじゃないか」
優しく、包容力たっぷりに微笑みながら、彩香の耳元で囁く。
「俺で、彩香の理想に近づけてるなら……嬉しいぞ」
彩香はますます顔を赤らめ、健治さんの胸に顔を埋めて小さく震えた。
声が恥ずかしさで上ずりながらも、素直に答える。
「……恥ずかしいです……本当に、すごく恥ずかしい……
でも、ほんとにそうで……怖いくらい幸せだといつも思ってます……」
健治さんは彩香を強く抱きしめ、彩香の髪に唇を寄せた。
「俺もだ。彩香がいてくれるだけで、十分すぎるほど幸せだ」
部屋に流れるのは、照れくささと甘い空気。
彩香は健治さんの広い胸に顔を埋めたまま、幸せと恥ずかしさで小さく身をよじり続けていた。

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