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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第35章 初めての二人の特別な父の日~秘密を打ち明けて~③
食事が終わり、二人はソファーに移動した。
健治さんは彩香を自分の隣に引き寄せ、肩を抱いた。
彩香は少し緊張しながらも、勇気を出して健治さんの胸に寄りかかり、
小さな声で切り出した。

「……健治さん。
 さっき、貴くんのお話が出て……
 もし嫌じゃなかったら……健治さんの過去の結婚のこと、
 少し聞かせてもらってもいいですか?」


健治さんは一瞬、静かになった。

彩香の髪を優しく撫でながら、穏やかだが少し重い声で話し始めた。


「……ああ、話すよ。
 彩香にはちゃんと知っておいてほしい」

健治さんは天井を見つめ、ゆっくりと語り始めた。

「独身時代……俺は本当に最低な男だった。
 女遊びが激しくて、勢いだけで生きてた。
 本命の彼女がいたのに……遊びで付き合っていた香織を妊娠させてしまった。
 結果、責任を取る形で結婚したんだ」

健治さんの声は落ち着いていたが、どこか苦い響きがあった。

「貴が生まれた時は、本当に嬉しかった。
 この子のためなら何でもしようと思ったよ。
 今でも貴は俺の誇りだ」

彩香は健治さんの胸に顔を埋め、静かに聞いていた。

「でも……香織とは性格が合わなかった。
 彼女は計画的で、貴にしっかり勉強をさせたいタイプだった。
 俺はもっと自由に、思いっきり遊んでほしいと思っていて……
 教育方針の違いで喧嘩が絶えなかった。
 些細なことですぐに衝突して……結局、貴が中学2年生の時に離婚した」

健治さんは彩香の背中を優しく撫でながら、穏やかに続けた。

「今でも後悔してる部分はある。
 でも、貴との時間だけは、ちゃんと守ってきたつもりだ」

彩香は少し切なそうな、ショックを受けた表情を浮かべながらも、
健治さんの胸にぎゅっとしがみついた。

「……大変だったんですね……
 健治さんが今、貴くんをちゃんと大事にしてるのを知れて……嬉しいです。
 ショックですけど……それでも、私は健治さんのことが好きです。
 過去も、今も……全部受け止めたいです」

純粋で一途な声で、彩香ははっきりと言った。

健治さんは彩香を強く抱きしめ、低く優しい声で囁いた。

「……ありがとう、彩香。
 お前みたいな子に、そう言ってもらえるなんて……俺にはもったいないよ」

二人はソファーで長く抱き合い、静かで温かい時間を過ごした。
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