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幽霊の悩み事
第1章 幽霊の悩み事
 あれから二年が経った。
 僕は神職の資格を取り、正式に榊原神社で働くことになった。


 相変わらず、生きている人の悩みも、死んでいる人の悩みも聞いている。


 僕が相手の名前を呼ばないのは、情が移らないため。幼い頃、幽霊のみーちゃんの名前を呼びすぎて、知らず知らずのうちにみーちゃんを引き止めていたからだ。


「榊原さん、お願いします」


 巫女さんが長方形の木箱を慎重に台の上に置いた。蓋を開けると、中には白い布に包まれた和風の人形が入っていた。


「……おかえり。君が来るのを、ずっと待ってたよ」


 人形の瞼が僅かに動く。


「君はもう頑張らなくていいんだよ。誰も恨まなくていい」


 人形の瞳から一筋の涙が溢れた。


「安らかに眠れるように、僕が見守っているからね」


 さようなら、相沢はるか。
 来世でも、幸せな人生を送れますように。





【おわり】



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