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名馬の城
第2章 馬酔酒
「槻弓様、槻弓様。」
誰かが名を呼ぶ声がする。
ハッとして起き上がると、そこは酒屋だった。
いつの間にか寝入ってしまったようで、羽織が体にかけられていた。
先ほどの出来事が夢であったとわかり、ホッとしたような惜しいような複雑な気持ちになった。
辺りを見回すと既に客は一人もおらず、自分だけが取り残されていた。
「あの酒は強い酒とはゆえ飲みやすいゆえ…止まらなくなるのです。もっと早くお止めすればよかった。」
主は申し訳なさそうに言った。
「いや、こちらこそすまぬ。もう今日は帰るゆえ…」
体も気だるいし、ガンガンと頭もいたい。酒でこんな風になってしまうのは初めてだった。
おぼつかない足元のまま立ち上がるとふらり、とよろけてしまう。
「あっ…」
「あぶないっ!」
主に支えられやっと立ち上がる。
「今宵はもう泊っていかれてはいかがですか?粗末なものではございますが、布団も用意してございます。」
「心遣いありがたいが、明日も早いので、もう帰る。」
銭を主に渡して、店の外に出る。
主が何か言いたげな顔をしていた。
「どうかしたか?」
「その…恐れ多いこととは存じますが、外で酒を召し上がるときはお気をつけください。」
歯切れの悪い言い方に槻弓は首をかしげる。
「案ずるな、ここ以外で酒は飲んだりせぬ。」
そう言って馬に跨り、城へ駆けていった。
主はその姿を見送りながら呟いた。
「外で酒を召し上がるときは、お気をつけくだされ。特に男連中の前では……。」
誰かが名を呼ぶ声がする。
ハッとして起き上がると、そこは酒屋だった。
いつの間にか寝入ってしまったようで、羽織が体にかけられていた。
先ほどの出来事が夢であったとわかり、ホッとしたような惜しいような複雑な気持ちになった。
辺りを見回すと既に客は一人もおらず、自分だけが取り残されていた。
「あの酒は強い酒とはゆえ飲みやすいゆえ…止まらなくなるのです。もっと早くお止めすればよかった。」
主は申し訳なさそうに言った。
「いや、こちらこそすまぬ。もう今日は帰るゆえ…」
体も気だるいし、ガンガンと頭もいたい。酒でこんな風になってしまうのは初めてだった。
おぼつかない足元のまま立ち上がるとふらり、とよろけてしまう。
「あっ…」
「あぶないっ!」
主に支えられやっと立ち上がる。
「今宵はもう泊っていかれてはいかがですか?粗末なものではございますが、布団も用意してございます。」
「心遣いありがたいが、明日も早いので、もう帰る。」
銭を主に渡して、店の外に出る。
主が何か言いたげな顔をしていた。
「どうかしたか?」
「その…恐れ多いこととは存じますが、外で酒を召し上がるときはお気をつけください。」
歯切れの悪い言い方に槻弓は首をかしげる。
「案ずるな、ここ以外で酒は飲んだりせぬ。」
そう言って馬に跨り、城へ駆けていった。
主はその姿を見送りながら呟いた。
「外で酒を召し上がるときは、お気をつけくだされ。特に男連中の前では……。」

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