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『帰り花の夜に』~義母の静謐なる背徳
第4章 義息~超えてはいけない境界線(3)
「亮介くん、お願い……このことだけは絶対に、葉月には秘密にして……」
もはや堰を切った情念を押し留めることなど敵わず、私は身を起こすと、彼の逞しい首筋へ縋りつくように両腕を深く絡め取った。差し出された私のすべてを、彼の強靭な腕が逃すことなく抱きとめる。
節くれ立った男の指先が私の乱れた黒髪を掬い上げ、無防備に晒された項へ、熱い唇が容赦なく落とされる。肌を這うように耳朶へと辿り着き、柔らかな肉をじっくりと嬲り苛む甘噛み。鼓膜のすぐそばで、乱れ狂う彼の息遣いが熱風となって私の皮膚を焦がす。
「お義母さん、ずっと前から……ずっと前から想っていました。僕はあなたを、一人の女として愛してしまったんです」
「亮介くん、嬉しい……けれど、それはきっとただの気の迷いよ。ねえ……最近、葉月と肌を重ねていないから、それで……」
言い募る私の唇は、強引に塞がれた。重なり合う粘膜の感触。一瞬の空白ののち、自分が決定的な背徳の淵に立たされている現実が、甘美な痺れとなって輪郭を取り戻す。永遠とも思える濃密な時が流れ、濡れそぼった唇が、名残惜しげに小さく糸を引いて離れた。
「気の迷いなどではありません。何度も、何度も自分を呪うように問い詰めた。けれど……お義母さんを求めるこの渇きを、もう抑え込むことなどできないんだ」
視線が絡み合い、再び貪るような接吻が交わされる。割り込んできた彼の舌先が、私の歯列をこじ開けて侵入してくる。抗う術もなく口を半開きにし、その熱い肉塊を深く迎え入れた。唾液に濡れた舌と舌とが、ぬらめく音を立てて淫らに絡み合う。
――これはただの、一幕の幻影。束の間の快楽を貪るだけの遊戯にすぎない。
胸の奥底で、もうひとりの冷徹な私が囁きかける。暗黒の帳の向こうに、嘲笑を浮かべた真紅の仮面がぼんやりと浮かび上がっていた。それは、理性という檻を食い破った私の生々しい本能の具現だったのかもしれない。
逆巻く背徳の奔流に呑まれ、底なしの泥沼へと堕ちていく己を、私はどこか冷ややかに見つめていた。だがその実、心の内奥では、若く猛々しい彼に無慈悲に貪り尽くされる我が身を幻視し、身を焼き尽くすほどの切望でそれを求めていた。
もはや堰を切った情念を押し留めることなど敵わず、私は身を起こすと、彼の逞しい首筋へ縋りつくように両腕を深く絡め取った。差し出された私のすべてを、彼の強靭な腕が逃すことなく抱きとめる。
節くれ立った男の指先が私の乱れた黒髪を掬い上げ、無防備に晒された項へ、熱い唇が容赦なく落とされる。肌を這うように耳朶へと辿り着き、柔らかな肉をじっくりと嬲り苛む甘噛み。鼓膜のすぐそばで、乱れ狂う彼の息遣いが熱風となって私の皮膚を焦がす。
「お義母さん、ずっと前から……ずっと前から想っていました。僕はあなたを、一人の女として愛してしまったんです」
「亮介くん、嬉しい……けれど、それはきっとただの気の迷いよ。ねえ……最近、葉月と肌を重ねていないから、それで……」
言い募る私の唇は、強引に塞がれた。重なり合う粘膜の感触。一瞬の空白ののち、自分が決定的な背徳の淵に立たされている現実が、甘美な痺れとなって輪郭を取り戻す。永遠とも思える濃密な時が流れ、濡れそぼった唇が、名残惜しげに小さく糸を引いて離れた。
「気の迷いなどではありません。何度も、何度も自分を呪うように問い詰めた。けれど……お義母さんを求めるこの渇きを、もう抑え込むことなどできないんだ」
視線が絡み合い、再び貪るような接吻が交わされる。割り込んできた彼の舌先が、私の歯列をこじ開けて侵入してくる。抗う術もなく口を半開きにし、その熱い肉塊を深く迎え入れた。唾液に濡れた舌と舌とが、ぬらめく音を立てて淫らに絡み合う。
――これはただの、一幕の幻影。束の間の快楽を貪るだけの遊戯にすぎない。
胸の奥底で、もうひとりの冷徹な私が囁きかける。暗黒の帳の向こうに、嘲笑を浮かべた真紅の仮面がぼんやりと浮かび上がっていた。それは、理性という檻を食い破った私の生々しい本能の具現だったのかもしれない。
逆巻く背徳の奔流に呑まれ、底なしの泥沼へと堕ちていく己を、私はどこか冷ややかに見つめていた。だがその実、心の内奥では、若く猛々しい彼に無慈悲に貪り尽くされる我が身を幻視し、身を焼き尽くすほどの切望でそれを求めていた。

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