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ほしいままに
第15章 俺は彼女を壊したくない(後藤将行)
暗いオフィスの闇に、二人ぽつりと落ちたように、静寂に抱かれている。
吐息に紛れ込ませたその静かな泣き声は、俺の胸に深く刺さり、俺の内臓を抉ってかき回した。
規則を破り、文字通り体を削って獲得する営業成績。
彼女をそこまで追い詰めているのはなんなのだろう。
彼女の涙に溶かされた苦悩の濃度は、俺には到底計り知ることができないように思えた。
俺に、彼女のすべてを受け止めることができるだろうか。
泣き声は次第に嗚咽に変わった。
俺の目からも不思議と涙がにじみ出た。
森川澪奈の感情が、背中を伝って俺を揺さぶって来るのだ。
俺はこらえきれなくなった。
胸の奥で暴れる衝動が、体を突き破る。
俺は振り返った。
そして、森川澪奈を、腕の中に包んで強く抱きしめた。
~第14章 俺は彼女を壊したくない 終~

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