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ほしいままに
第28章 透明な夜
「俺も丁度飲もうとしていたところだ」

そう言って部屋に通した。

テレビをつけるとどこかの町をタレントが歩いているバラエティ番組が流れていた。
俺はベッドに座ってビールを飲みながら、椅子に座った澪奈と見るともなしにそれを眺めた。

気がつくと澪奈は、眠気に襲われたようで、こくりこくりと首を揺らし始めた。

「風邪ひくぞ」

俺は澪奈の肩を抱き上げてベッドに運んだ。澪奈がここで寝てしまったら俺は隣室を借りるしかない。

澪奈はベッドの上で座った体勢になり、着替えます、と言うので、俺は備え付けのパジャマのМサイズを取り出して澪奈の隣に置いてやった。

なぜわざわざ服を着てここにきてパジャマに着替えるのか。疑問に思ったが、慣れない旅行どころか生まれてはじめての逃避行旅行。何をどうしたらいいかわからないのは今の俺も同じだ。

俺は洗面所に入って着替えが終わるのを待った。
歯を磨いて部屋に戻ると、澪奈はまだベッドの端に腰かけていた。

パジャマに着替え、肩までの髪は下ろしている。俺を見る目に戸惑いの色が見えた。

まさか俺を誘っているのか。




俺が近づくと澪奈は言った。

「私、ここで寝てもいいですか」

「じゃあ、俺が向こうの部屋に移ろうか」

「そうじゃなくて、支店長の隣に」

澪奈は言うと、ベッドに横たわった。
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