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第4章 俺は琉じゃないよ?
翌朝、洗面所でバッタリ顔を合わせた愛里咲と翔。
お互いに気まずくて目が見れない。


「あの…その…すみませんでした……忘れて下さい……」

愛里咲の言葉に、願いとは裏腹に昨晩の愛里咲のあられもない姿を鮮明に思い出す翔。


「やっ、何の事⁈ 覚えてないなぁ」

反応しかけた下半身を、Tシャツの裾を引っ張って隠しながら、翔は引き攣った笑顔を見せる。


「思いっきり動揺してんじゃん?」

洗面所のドアに凭れて呆れたように翔を見る弟に、翔は益々動揺した。


「陽向泣いてる」

「あ、ありがと」

琉に言われ、ぺこりと翔に頭を下げて走り去る愛里咲。

翔は小さく安堵のため息を吐いた。


「兄貴が愛里咲の目を見れないのは、昨日の夜、頭ん中で愛里咲を抱いたから?」

「は⁈ 」

琉の言葉に、昨晩頭の中で抱いた愛里咲が、また妖艶に乱れ出す。


「……ムカつく」

「ごごごごごっごめん‼︎ 」

「やだ」


─────即答⁈

頭の中でくらいいいじゃんか⁈

飛び出しそうになったその言葉を、翔は必死に飲み込む。


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