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*妄想社長に振り回されて*
第1章 妄想社長と甘いキス
ふ、と唇が離れた。
瞑っていた瞼を開けると、そこには真っ赤な顔をした社長の姿があって驚いた顔をしている。

「悪いっ!本当にすまない!」

慌てて謝る姿に何だか自分だけが盛り上がってたみたいで悲しくなった。
私の名前を呼んでくれたと思ったのに、夢の中のマキはどうやら私ではなかったみたいだ。

「も、もう!寝惚けるのも大概にしてくださいよ!」

泣きたかった。
ひどい、って文句もいっぱい言ってやりたかった。
だけどそれをしてしまえばきっともうこの会社にはいられない。
社長が私をクビにするとかじゃなくて、きっと私の方が堪えられない。

「本当に悪かった」

……そんなに謝られるともっと傷つくんだけどな。

私は立ち上がるとわざと頬を膨らませた。

「コンビニで一番高いデザート買ってきて下さいね」

私の言葉にホッとしたように社長が笑顔になった。
何だかその表情の変化も恨めしい。

今日のことで社長の私に対しての気持ちが分かった気がする。
据え膳も食えないほど対象外ってことだよね。

その後食べた生クリーム付きのプリンは全然甘く感じなかった。

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