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第4章 弘子～主婦一人旅での出来事

43歳の人妻が一人旅から帰宅したのは、その日の夜だった。

「ママ、お帰りなさい！　楽しかった？」

大学生の娘のさやかが、玄関先にまで出迎えてくれた。

「ええ。おかげさまでとても楽しかったわ」

「ねえねえ、お土産は？」

「ちゃんとあるわよ」

喜ぶ娘と一緒に、弘子は自宅に入った。

「お帰り。予定通りだったね」

居間に夫、健治がいるのを知り、弘子は一瞬戸惑った。

だが、すぐに平静を取り戻し、答えた。

「あなた、わがままを聞いていただき、ありがとうございました」

「どうだった、楽しかったかい？」

「ええ。のんびり過ごすことができましたから」

「それはよかったな。・・・・・・・昨夜はすまなかったな」

「えっ？」

「あんな遅くに電話をしてしまって」

弘子は娘の前で大胆にその話題を持ち出す夫を、思わず見つめた。