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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第7章 麻由子~夫の浮気相手、その夫
「あ、あの・・・・・・・」

想定外の展開に、麻由子は言葉に詰まった。

灰色のスエットに分厚いジャンパー姿の男は、髪がぼさぼさであった。

コンビニ袋を右手にぶらさげている。

無精ひげが伸び、いかにも寝起きという風貌だった。

「こちら、相沢さんのお宅ですよね・・・・・・・」

麻由子は、とっさにそう言った。

アパートの住人が、しつこくドアホンを鳴らす女性を不審に思ったに違いない。

しかし、男は麻由子の予想を覆すことばを発した。

「ええ。私の自宅ですが」

「えっ?・・・・・・、じゃあ・・・・・・・・」

「相沢です。失礼ですが?」

その風貌に似あわず、男の口調は歯切れのいい、はっきりとしたものだった。

「あ、あの・・・・・・、奥様は・・・・・・・・・・」

外に面したアパートの廊下で、麻由子は懸命に声を絞り出した。

「妻ですか?」

「ええ。かすみさんに会いに来たんですが」

少しずつペースを取り戻しながら、麻由子が言った。

この男がかすみの夫なのだ。

しかし、会社員であるはずの彼がいったいどうしてこんな時間に。

臨時の休日か夜勤明けとかであろうか。

それであれば、少し面倒なことになる。

麻由子はただ、かすみだけに怒りをぶつけるためにここに足を運んだのだ。

「妻は出勤してます」

「・・・・・・」

夫の言葉に、麻由子は再び言葉を失った。

「夜更けまで妻は帰宅しませんよ。いったいどのようなご用件でしょうか」

夜更けまで帰宅しない?

ということは、かすみは日中も働きに出ているというのか。

麻由子は夫をよからぬ道に引きずり込もうとしているその女のことが、すっかりわからなくなった。

だからこそ、追及の手を緩めたくはなかった。

「私、奥様に苦情を申し上げに来たんです」

「ほう、苦情ですか?」

「ええ。私の主人に手を出すのはやめていただきたい、と」

その言葉を聞いたかすみの夫は、表情をこわばらせた。

そして、低姿勢な様子で麻由子に言った。

「そうですか・・・・。また、うちのやつが・・・・・・・・」

「また?」

「奥様、こんなところではなんですから、中で説明させてもらえませんか?」

「望むところですわ」

アパートのカギを開けた彼に続き、麻由子は中に入った。
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