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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第7章 麻由子~夫の浮気相手、その夫
行かなければよかった。

自宅に戻った麻由子は、後悔したがもう遅かった。

見るべきではないものを見てしまった。

夫の浮気相手である女に会いにいったはずの自分が実際に対面したのは、その女の夫だった。

ストレス系の病で自宅療養しているという彼の、生活そのものを目撃したのだ。

布団周辺に散らばった新聞や雑誌、それにインスタント食品。

洗われていない食器。

そして、TVのそばに積み上げられていた猥褻なDVD。

不潔よ・・・・。

麻由子は改めてそう思うと同時に、自分を責めるような感情も抱き始めていた。

あの人は病気なのよ・・・・。

そんな方にあなたは、少しひどいことを言いすぎたんじゃないかしら。

私の怒りの矛先は、あくまでも相沢かすみだったはず。

その夫である相沢武則に罪はないのだ。

放任しているとはいえ、夫がそこまで責を負う必要はないだろう。

悪いことをしたわ・・・・・・。

時間が経過すればするほど、麻由子は強くそう感じた。

だが、今さらどうすることもできない。

それよりも、かすみにはどう接近すべきか。

仕事場に直接いくべきか、或いは・・・・・。

それからの日々、麻由子はそんなことばかりを考え始めた。

考えるほどに、しかし、麻由子はかすみの夫のことを想起した。

麻由子があんなDVDを生まれて初めて見たせいかもしれなかった。

パッケージだけではあるが、麻由子はそんな類のものを見たことがなかった。

光彦は、そんな商品とは無縁の男だ。

あんなものを鑑賞する男は、異常なのだという考えさえ、麻由子にはあった。

しかし、かすみの夫が・・・・。

荒れた外見ではあったが、よく観察すれば、整った顔立ちの男性だった。

病気になる前には、優秀な会社員であったのだろう。

やはり彼もまた、かすみの毒牙にはまってしまったのだ。

私、いったい何を考えているの・・・・。

いつしか相沢武則のことばかり考え始めた自分に、麻由子は戸惑いを感じた。

だが、想像は止められなかった。

深夜、夫が隣で寝るベッド上で、麻由子は一人、想像した。

あの男が、あのアパートで、あのDVDを鑑賞する姿を。

全てを曝け出した男が、己の欲望を満たそうとする、その猥褻な姿を。

「生身のほうがいいに決まってますよ」

麻由子の脳裏に、彼の言葉が妖しく響く。
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