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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第10章 菜々姫~囚われた戦国の美妻
「なに、甚八が・・・・・・・・・」

その噂が勝重の耳に届いたのは、間もなくだった。

「逃走中、甚八が菜々を手籠めにしたというか・・・・・・」

「国境いで最大の盗賊一派の屋敷が、先般焼け落ちましたそうで」

数少ない家臣の一人の報告を、勝重は興味深そうに聞いた。

「ほう」

「火が放たれたとき、屋敷の戸には外からかんぬきが掛かっておったとの由」

「盗賊どもは皆、閉じ込められたとな」

「殿、閉じ込められたのは盗賊どものみではございませぬ」

勝重の顔が、僅かに硬化した。

「我が藤川の兵も数名そこに捕えられておった模様」

「なんと・・・・・」

「皆、無残に絶命となりましたが、一人が死の間際に地元の農民に語った話によれば」

「詳しく申すのじゃ」

「どこまでが真実かはわかりませぬが・・・・・・」

家臣の話はこうだった。

その屋敷に火を放ったのは甚八である。

彼は、藤川の家臣を皆、見殺しにした。

それどころか、そこで菜々の体を・・・・・。

藤川の兵は、そこから言葉を継ぐことなく、命果てたという。

「さようか・・・・・・・」

その噂に、勝重はかつて経験のない感情を抱いた。

あの忍びに抱かれる妻の姿を、勝重は想像した。

激しく渦巻く嫉妬心・・・・・・。

そして、妻に対する疑念・・・・・・・・。

「菜々、真実を話すのじゃ」

その夜、勝重は激しく菜々を問い詰めた。

しかし、菜々はどこまでも否定を続けた。

「根も葉もないうわさでございまする」

「信じていいのか、菜々」

「デウス様の名にかけても、殿に嘘は申しませぬ」

菜々は、胸の十字を握りしめながら、勝重の顔を正視した。

勝重は信じた。

だが、甚八を許すことはできなかった。

菜々に対する不敬、そして味方への裏切り行為の疑いで、彼はやがて囚われの身となった。

勝重のその決断に、菜々は抗議することさえ許されなかった。

「惜しい男ではあるが、甚八の首ははねる」

夫の言葉に、菜々ができることは一つしかなかった。

深夜、密かに十字をかざし、天に祈ることだけ・・・・・・。

甚八処刑の前夜は、瞬く間にやってきた。
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