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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第19章 亜依子~新婚旅行での出来事
「大丈夫か?」

横倒しになったスーツケースに手を伸ばしながら、亜依子は夫に答えた。

「私は大丈夫だけど・・・・」

亜依子のスーツケースの傍らに、小さなキャリーケースが転がっている。

相手に謝ろうとしたとき、亜依子は初めて気づいた。

キャリーケースの持ち主がどうやら外国人であることに。

「あ、あの・・・・、I'm sorry・・・・」

たどたどしい英語で話そうとする亜依子を、相手は優しく見つめ返した。

年齢は40代半ばだろうか。

いかにも紳士然とした白人男性。

日本に出張し、これから母国に戻るのかもしれない。

カジュアルなスーツを着こなす、感じの良さそうな男性だった。

「So sorry, It's my fault. Are you OK, madam ?」

「イ、イエス・・・・」

流暢な英語でハンサムな白人に話しかけられ、亜依子は顔を赤らめた。

「I can do for you, madam」

彼はそう言うと、亜依子のスーツケースに手を伸ばし、元通りにそれを立てた。

「サンキュー・・・・」

緊張気味の亜依子の全身をさりげなく見つめた後、彼は腕時計に視線を投げた。

「I must go. I forgot to buy something for my kids」

チェックイン前に、子供への土産を買いに急いでいたようだ。

母国にはご家族が待ってるんだわ。

亜依子は、そんなことを思わず想像した。

「See you. Have a good trip」

亜依子に熱い視線を送った後、彼は笑みを浮かべて歩き去った。

夫が改めて亜依子に声をかけた。

「大丈夫か」

「緊張しちゃったわ、英語で話しかけられて」

「あの人、亜依子のこと気に入ってたみたいだな」

「まさか」

「妙に熱い視線で見つめてただろう、亜依子の躰を」

「やめてよ、哲也・・・・」

高鳴る鼓動、そして肌に浮かんだ汗。

夫には言えなかったが、亜依子も感じていた。

彼の素敵な、そして情熱的な視線が私に注がれていたことを。

渇ききった肉体が、どうにもならないほど疼き始めている。

今すぐに夫に抱かれたい・・・・

「亜依子、急ごうか」

「うん」

火照った躰を忘れ去ろうとするように、亜依子は小走りで夫を追った。
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