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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第24章 志津〜人妻ランナーの秘密
ゴールした時も、志津はまだ余裕がある自分を感じていた。

腕時計を見れば、58分40秒を示している。

「えっ、ほんとに?」

ささやかな驚きに包まれた人妻に、彼が駆け寄ってくる。

「志津さん、まさか1時間切りましたか?」

「ええ、そのまさかみたいです」

「凄いじゃないですか」

多くのランナーでごった返すエリアで祝福され、志津は恥ずかしげに笑った。

「何だか私、今日はいつも以上に体が軽くて」

志津は自分と同じように汗で濡れた彼を見つめた。

「佐野さん、もうハーフ走ったんですか」

「1時間半くらい、ゆっくりですよ、今日は」

「まあ」

ゴールエリアには、地元グルメの屋台がいくつか並んでいる。

「志津さん、見て」

「マスカット?」

鮮やかな緑色をしたマスカットを手にした彼と一緒に、志津は芝に腰を下ろした。

「おいしいですよ」

彼から手渡しでフルーツをもらい、快感を伴った疲労に浸る人妻。

「走ると気持ちいいですよね」

志津の気分を知っているかのように、彼がささやく。

「このために走ってるようなものです、私」

走り終えた後にいつも彼女を包んでくれる、どこか性的な欲情。

それが今日は、一層色濃く、人妻の肉体を刺激している。

だが、彼はそんなことに気づく様子もなく言葉を続けた。

「あまりゆっくりしてられないのかな」

既に10時半を過ぎていた。

ホテルのチェックアウトは、レース参加者向けに午後2時と少し遅めに設定されている。

だが、のんびり長居できないのは事実だ。

「現実にはまだ戻りたくないわ」

本音を漏らしながら、志津は深刻さを消すように笑みを浮かべた。

「志津さん、最後にランチをご一緒しますか」

「はい、是非」

ホテルまで、ゆっくりとした散歩。

彼との時間を楽しみながら、人妻は密かに鼓動を高めていく。

もう少しだけ、彼と一緒に・・・

そんな気分を、志津は懸命に捨て去ろうとしている。

駄目、ランチで終わりにしないと・・・

「シャワー浴びますよね?」

「えっ?」

いつしかホテルに到着していた志津は、彼の問いかけに言葉を詰まらせた。

「チェックアウトしてからランチにしましょうか、志津さん」

「は、はい」

彼に言われるまま、志津が素直に頷く。

そして、人妻は彼と二人きりでエレベーターに乗った。
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