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梨華との秘密
第9章 乱れ咲く縄華
 二十分ほど走ると、三奈の会社が見え、


「もう少しやな。時間がもっと欲しいな、三奈。」


 名残惜しそうに言うと、


「私も、でも、今日から、いつも一緒だから。我慢できます。」


 彼女の言葉に嬉しさと、少しの残念さが込もっていた。


「あっ、そうや、来月の半ばくらいになると思うけど、知り合いの結婚式に呼ばれてるから、梨華と三人で行かなきゃならないと思うから、覚えておいてくれるかな?」


「えっ、親戚の人?」


「あぁ、実は昨日の社長秘書の娘が常務と結婚式をあげるんや、で招待されたんや。」


「えっ、うそっ、ほんま?うち、どないしょう!」


 三奈の顔に困惑が浮かび、すぐに喜びに変わった。


「うん、三人やて先方には伝えてあるからね。俺の礼服はあるけど、梨華は制服だろうね。三奈のは一緒に考えようか?」


「えっ、一緒に?嬉しい!楽しみにしておきます。」


 三奈の喜びが爆発した。
 そんな話をしながら、彼女の会社に着いた。
 降り際に彼女を抱き寄せ、唇を重ね、名残を惜しむようにお互いの唇を吸い続けた。


「気を付けてな、三奈。」


「はい、ご主人様も、、。」


 車の中から彼女が中へ入るのを確めてから、車をスタートさせた。
 岡山に車を走らせながら、今夜からのことを思いめぐらせていた。
 三奈とのこと、梨華の将来のこと、朱里とのこと、そして、俺自身のこと、幸との思い出、ふっと、幸が笑ってるような気がして、思わず、


「幸、これで良いのかい?梨華まで、引き摺り混んじゃったよ。お前の姪っ娘なのに、ごめんな。」


 幸がクスッと、吹き出したように見えた。
 なぜか、ウィンクしているように感じられた。
 勝手な想像だよ。
 違う、、。
 彼女の声が耳元で聞こえた。
 しかし、それっきり彼女の声は聞けなかった。


(ありがとう、幸、頑張るわ。無理せんとな。)


 俺の中を熱いモノが満たし、思わず運転中なのを忘れていた。
 しかし、ほんの一瞬だったらしく俺は、ハンドルにてをかけたままだったが、後ろの車のクラクションで、ふっと、我に返った。


(危ねぇ、いまのは、幻?いや、現実やろ。)


 思わず、両手で頬っぺたをパンパン叩いていた。
 四十分ほどして、駐車場に車を止めた。
 職場に入ると、課長が手招きしていた。
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