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アネゴ的カノジョ
第4章 蘇る本能
 
 今まで布団を敷いて頭を向けていた壁。

 その壁に埋まるように立っている柱。

 その脇にある壁から、仄かに光が射していた。


…こんなぼろい建物って……
……薄い壁だからって……隙間できるなんて………


 暗い部屋に射し込む一筋の光。

 このアパートは隣接した部屋と正反対になっている造り。

 その光の源は、隣の杏子の部屋からだと安易に想像がついた。

 それに加えての、先程の喧騒。

 普段なら気にしない雅人だったが、不意に好奇心が先立った。


…と…取り敢えず確認だから…確認っ………


 自分に言い聞かせた雅人。

 物音を立てないように、膝立ちしながら壁へと向かう。

 柱の脇にはポッカリと拳くらいの穴が空いていた。


…ホント……確認だからねっ……確認っ………


 再び自らに言い聞かせた雅人。

「………えっ……?」

 穴を覗き込んだ瞬間、息を飲んだのだった。


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