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アネゴ的カノジョ
第5章 陽と陰
「いってきます」
返事のない部屋に言葉を残して歩き出す。
鉄階段を下りて、いつものように畦道を歩く雅人。
その足取りはいつにも増して重く、隈を作ったその目には周りの景色など入っていなかった。
…あの姉ちゃんが……
杏子の淫らな姿が頭から離れない。
壁の隙間から見た痴態を思えば、歩いている今も、下半身に血液が集まっていく。
「何で…ボク………」
男子ならではの正常な反応にも、戸惑いを隠せない。
杏子が寝静まった後も、その光景が思い浮かんでは情欲を鎮めていた。
痛みを感じ始める程に何度と擦っても、一夜明ければまた反応していた。
…姉ちゃんは姉ちゃんなんだから………
こんなの……ダメだ………
……それに…ボクなんて……
内股気味に歩きながら、杏子を情欲の対象にしている事に自らを窘める。
歩き辛さを感じながら、雅人は畦道を抜けて商店街を進んでいった。
この辺りになれば、雅人と同じ制服や子どもたちの人影が出て来る。
みな、向かう方向は同じ。
朝から元気に燥ぐ小学生や中学生、男女二人で睦まじく歩く高校生などに混じって、雅人はトボトボと歩き続けていた。
「よっ。マサおはようっ」
軽く肩を叩かれた雅人の足が止まった。