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妄想短編集
第6章 痴漢男〜5章続編
男がいなくなり、助かった安堵
感からか、腰が砕け。
ペタリと座りこんでしまう…。

『おい。』

明希に見下ろされるように
して声をかけられても
今頃になって身体が震え出し
返事もろくにできない。

いたたまれなくなった私は
俯き、自ら震える身体を抱きしめる。

『…。』

『一応レイプされかけたんだから
診察する。来い。』

そんな事いわれても
身体が思うように動かないのよ。
必死で震えを抑えるように
しながら、心の中で悪態をつく。

『…。』

『…。』
二人の間に沈黙が流れる。

『ずっとそこに一人でそうして
いたいなら、そうしろ。
俺は暇じゃない。』

その声を聞いて私は、顔を上げる。
明希は私に背を向けて、私の前から
立ち去ろうとしていた…。

嫌だ。行かないで。

なんとか声を絞り出し、
『ま…って…。待って明希。』

彼が振り返る。
『立てないの…。私、腰が抜けた…みたい。』
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