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みずいろの斜線
第1章 芽吹き
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知らない誰かだったら、あーまたカップルが春の陽気にあてられて発情してる、なんて冷めた目線で通りすぎたかもしれない。
知っている誰かだったからハッと足を止めてしまった。
……初めはそう。そっとくちびるがふれあうキス。
けれどすぐに彼女が彼の背中に腕を回し、深いキスに変わった。
彼が身を乗りだし深く口づけると自然と舌が入ったのが分かった。
端正な顔立ちの彼女はそれを受け入れうっとりとした表情で応えた。
彼の大きな手が彼女のジャンパースカートの上を這い、その豊かな膨らみに辿り着くと何度かそれを揉みしだく。
彼女は感じてるように聞こえなくもない甘い声を喉の奥で響かせた。
二人は酔いしれるようにキスを繰り返したのち、くすくすと笑い合い手をつないで出ていった。
わたしは偶然今通りかかったような顔で二人とすれ違った。
彼は彼女の顔をいとおしそうに見ていてわたしに気づくことはなかった。
そんな風に今日の光景を思い返しながら、
ふと、軽い違和感を感じてさやかは自分の秘部にそっと手を伸ばした。
……濡れてる……
途端に恥ずかしくなった。
知人のキスを反芻して濡らしてしまうなんて。
セックスに興味がないわけじゃなかった。
エッチな気持ちになったとき、ここが少し濡れるということも知っていたし
疼くような感覚で何度かたまらずに指で触れてみたこともある。
それでもなんだか怖くて、大事なものを失ってしまうような気がして、
その先に耽ったことはなかった。
わたしはまだ、この先に何があるのかを知らない。
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