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可愛いヒモの育て方。
第8章 芽生え

 正直、セックスを終えて麻人が隣に横になったのは覚えているけど、その後の記憶はあまりなかった。

「終わって横になったあと、少し話したの覚えてます?」
「うーん……」

 記憶を辿るも、お布団のふわふわした肌触りしか思い出せない。

「やっぱりか。ま、めっちゃ眠そうなだったもんなぁ」

 麻人はわざとらしく、嘆息してみせた。

「手、ホントに握ってた?」
「なんでそんな疑うんすか?」
「だってそれは……」

 昔、元カレにしていたこと。喉元まで出かかったそれを、口には出さなかった。なんとなく、その癖を麻人に知られたくなかった。

「セックスしたあと、何話した?」
「麻人様の言うことならなんでもするんで、この雌豚をどうか奴隷にしてくださいませ! って言ってた」
「……嘘つけ」

 どんだけ寝ぼけてたとしても、例えば酒の飲みすぎで泥酔して記憶が飛んでる状況でも、絶対そんなことは言わない。

「どうせ店長の愚痴とか、小説のネタとか、たわいもない話でしょ? もう、どうでもいいや!」

 私は背中を浮かして体に巻きついた毛布と掛け布団を広げ、軽く伸びをした。
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