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可愛いヒモの育て方。
第8章 芽生え

 拘束プレイで、いつまでも遊んでいる場合じゃない。とりあえず上体を起こし、携帯を探した。今何時だろう。
 今日の昼までに旅館を出なければいけないし、朝、九時に、朝食も来る。それまでに、体を洗い流したかった。
 携帯を見つけ時間を確認すると、八時半少し前。急がなくては。

「……マジで覚えてないんすね」
「うーん、全然」

 麻人は真顔で、私を見つめる。

「なんで? 私なんか変なこと言った?」

 麻人の態度が、なんとなくいつもと違う。私は気になって尋ねた。

「いや、ちょっと愚痴ってただけですよ」
「やっぱり店長の愚痴言ってた!? ごめんよー」

 うちの店の主(ぬし)は、なんやかんやで俺様店長だったりするから、よく理不尽な理由で怒られたりする。その愚痴を、たまに麻人に零していた。楽しい話でもないし、麻人の気分まで沈ませちゃってたら嫌だなと思い、やめようとは思っていたのだけど。つい、ね。

「違いますよ。店長の話題は、一つも」
「じゃあなんの愚痴?」
「うーん、ま、いいや。それより早く風呂行かないと、朝食来ちゃいますよ」
「あ、そうだった!」
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