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可愛いヒモの育て方。
第8章 芽生え

「官能小説で官能部分抜かしたら、面白みも残んないでしょうが!」

 そこが見せ場なのに。思わずそう突っ込みを入れる。

「んー、じゃあ、今度は頑張って抜かさず読みます」
「やだ、恥ずかしい」
「どっち!」

 私にだって、いろいろと葛藤があるのだ。
 そんなふうに話していると、なんだかお腹がすいていることに気付いた。
 私は椅子を少し倒し、後部座席に置いてある、お土産袋を漁った。薄焼きおせんべいがある。

「麻人、おせんべい食べる?」
「食べるー」

 袋を開けて、麻人の口に放り込んでやる。しばらく黙って二人でボリボリとおせんべいを食べながら、麻人が流すロック調の曲を聴いていた。
 麻人の視線がちらりと私に向いた。


「友梨香さんの小説って、実体験入ってたりします?」
「え? いや、体験談ふうのは、あんたが泊まりに来た日のことを書いたけど、他は全部作った話だよ。フィクション。なんで?」
「いや、何個か読んだ小説の相手の男の人、みんな似たような感じだったから。友梨香さんより、ずっと年上の人。同じ人をモデルにキャラを作ったのかなって思って」
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