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可愛いヒモの育て方。
第9章 夢

「……うーん、そうよねー」

 店長の読みの通りだ。

「店でなんかあったんすか?」
「それがさ……、さっき妙な電話が来て」
「電話?」
「女の人なんだけど、こっちが応対してもずっと無言で、いきなり君島麻人いますか? って。名前を聞いても名乗らずに切られちゃって。二年くらい前、うちの店でストーカー騒ぎがあったんさ。女子高生の女の子が店の常連客にあとをつけられて、刃物で切りつけられて。その時も変な電話が来てたから、今回も、客のストーカーだったらな、と思って電話したんだ。だけど心当たりはないんでしょ?」

 沈黙。

「……麻人? 聞いてる?」
「あ、はい」

 呼びかけてると、すぐさま反応が返ってきた。

「もしかして、知り合い?」
「わかんないっすねー」
「でも、あんたの名前フルネームで言ってたよ」
「……イタズラかなんかですかね。電話は一回だけですか?」
「うん、一回」

 イタズラ? 私の中で、何かが引っかかった。

「わざわざ電話ありがとうございます。俺そろそろ戻りますね」
「あ、ごめんね飲み中に」
「大丈夫っすよー」
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