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可愛いヒモの育て方。
第9章 夢

「あいつ、今日休み?」
「ですね」
「じゃあ、一応連絡しといてやれよ、その電話の件。あいつの知り合いかもしれないし」
「わかりましたー」

 私は店長室を出て、更衣室に向かった。携帯で麻人に電話をかける。
 そういえば、今日は飲みとか言っていた。時間を見ると、八時ちょいすぎ。飲みは始まっている時間だし、出るだろうか。

「はーい、もしもし」

 何回かのコールのあと、麻人が出た。

「あ、麻人。今飲み中?」
「はい、そうっすよー。どうかしたんすか?」

 麻人の周りはガヤガヤとうるさかった。居酒屋かどこかにいるみたいだ。
 せっかくの飲みの邪魔をしても悪いので、早く話を切り上げるべく、単刀直入に聞いた。

「最近、変な客に声をかけられたりしなかった?」
「……変な客?」

 通話の向こうのガヤガヤが、徐々に静まる。麻人が人気(ひとけ)のないところまで、移動したみたいだった。

「連絡先を渡されたり、どっか行こうとか誘われたり。君可愛いーねー、お茶しなーい? とか」
「いつの時代のナンパっすか、それ。別にないですよ。客に絡まれるほど、ホール出ないし」
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