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可愛いヒモの育て方。
第4章 ○○のオモチャ屋さん

「悔しがるほど翻弄されてたんでしょう? 一体何をされたの?」
「……秘密」

 さすがに自分の性体験をベラベラ語れるほど、羞恥心を捨てきれてはいない。
 だけど言われてみれば。確かに麻人は上手いし、時々ヤバいくらいの快感をくれるけど、それはいつも私が彼にしていることを、そっくり返してきているようなものだった。媚薬とか、焦らしとか、アソコを舐めたりだとか。
 それが彼の性癖というわけでは、ない。

「しいて言うなら、『カウンター』?」
「え、格闘技!? それも斬新ねえ!」

 なんだか意味を履き違えて捉えられている気がするけれど、面倒くさいので訂正しなかった。

「とにかく、相手の性癖を調べてから、出直してきなさいな。アダルトグッズは逃げないから!」
「はーい」
「かわりにいいものをあげる」

 そういってバッグを漁る。彩乃が私に差し出してきたものは、彩乃の店の販売カタログだった。

「これに商品が出てるから、勉強しな。気になるものはググってみるといいわ」
「……ありがとう」

 なかなかにぶ厚い冊子だ。私は軽く丸めてバッグの中に詰めた。

「そろそろ、帰ろうか」
「そうね、もう三時過ぎてるし」

 夜も更けすぎだ。
 私たちは清算を済ませるため、レジへと向かった。
 お会計をしながら、若い男の店員が、ちらちらと私たちを見ている。さっきの卑猥な単語の数々が聞こえたんだろうなぁ。
 私はため息をついた。そういえば、後半は警戒心ゼロで普通にしゃべってしまっていた。
 もうしばらくはこのファミレス来れないなぁ、などと考えながら、店を後にしたのだった。
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